神様をめぐる冒険 その35
- 2019.12.01
- ストーリー
「黙想」 練習の前後に整列して「一分間」目をつむって精神を集中する。
その間なにを考えていたか、あるいは何も考えていなかったのか、あまり憶えていない。
中学生になった。もといた少年野球チームの中学部というものもあったのだが、人数も少なく、活動状況もよくわからなかったので、中学校の部活動として野球を続けることにした。硬式ボールから軟式ボールになる事は将来的に不利になるかもと思ったのだが、致し方ない。
世の中、ヤンキー文化全盛期である。世の中?う〜む、少なくとも田舎の中学校ではそうだった。特に最初の半年は部活動として機能していなかった。顧問の教師は暴力から逃げてほぼ指導に来ず、自主練習という名の下級生いじめを見て見ぬ振りしていた。その担当顧問は、はっきりと3年生が卒業するまでは来ないと言っていた。明らかにセンスも実力もない3年生のお遊びみたいな練習に球拾いと声出しの為だけに参加させられ、理不尽ないじめと暴力。ストレス発散のはけ口。
それでもなんとか辞めずにいたのは、一つ上の学年のO先輩がいたからだ。野球の漫画は数あるけど、最も好きなものは「キャプテン」だ。O先輩のほんとうの顔を今となっては思い出せないが、テレビアニメで放送されていたキャプテンの谷口とオーバーラップする。実際、後にキャプテンになるんだし、ポジションこそ違えど、もはやO先輩じゃなくてT先輩みたいなのもか。
彼はどんな状況でも腐らず、僕たち下級生にも自分たちが最上級生になったら必ずやり方を変える。だから、もうちょっと辞めずにがんばろう。と、話してくれた。そして実際そのように行動した。もちろん、甘やかすとかじゃなく、厳しかったが、野球愛とでもいうか、人にも厳しいが、自分にはもっと厳しいといった。まさに「ザ キャプテン」だった。
最初の顧問は学年主任など忙しいとの言い訳でほぼ放課後の練習には参加せず、約束の3年生の夏の県大会予選(当然一回戦負けしたが)が終わって、新チームになってからもO先輩に任せっきりであった。そして新学期。大きな変化が起きる。顧問の交代だ。
新しい顧問は他校から赴任して来た体育教師Yになった。あだ名は「マンモス」
体育大学出身で、大柄な、しかも偏光サングラスをした、いかにもコワモテの見たままのあだ名の教師だった。
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