すでに与えられていることに気付く


「人生が変わったな」なんて出来事はずいぶん後から気づくような気がするんですよね。

高校に入学して半年もしないうちに部活動は辞めてしまったんです。あとは帰宅部兼麻雀部。その日は帰宅部だったんですが、夕方5時を回ったころ、家の電話が鳴って。母親に呼ばれて電話に出ると、同じく麻雀部の、いや僕に麻雀を教えてくれた悪友のK君からでした。「とにかくサンテレビを今すぐ見ろ」と、一言だけ早口で言うと彼は電話を急いで切りました。

いわれるがまま、テレビをつけるとそこには丸ボーズでやせぎすのパンクロッカーが飛び跳ねながら歌っていた。

リンダ リンダ

なんじゃこりゃ?

K君とはもともとRCサクセションのファン同士で仲良くなって、お笑いや音楽の感性が妙にあったから、悪友であり、唯一の親友と呼べる存在でした。そんな彼がそんなにあせって薦めるもんだからね。なにかと思ったら。

えらいもんを見てしまった。

シンプルなものほど「ほんとの意味」を見失うっていうか、「見た目」に惑わされるっていうか。高校生ですでに出会ってたのに、ずいぶん後で気づかされたよ、ヒロト。自分が50歳を超えて、改めて思う。

助けてくれてありがとう。

突き動かしてくれてありがとう。

「ありがとう」が、なにか教えてくれてありがとう。