神様をめぐる冒険 その60

神様をめぐる冒険 その60

そらを見上げる。

生きてるってなんだろう。生きてるって何?

西東はどうしても運を天に任せることが出来なかった。

「どちらにしようかな?天の神様の言うとおり。」子供の頃から周りの人間は大人も子供もおかしなことをやるもんだと思っていた。じゃんけんの前に組んだ手をくるりと回して覗き込んだり、手の裏を逆の手で押してしわを数えたり。神様は何も言ってくれないし、何も教えてくれない。そもそも、神様なんていないと思う。タイムマシーンのような機械に乗せられて、捨てられた、そんな同じような境遇の周りの人間が神様の言うことを聞くなんて、なんてバカなんだと思っていた。ほんとに神様がいたらそんなひどい仕打ちをするわけないじゃないか。

施設では毎週日曜日になるとお寺の住職さんが来て、人の生き方について語ってくれていた。今となっては中身は全く覚えてはいない。神様だけじゃなく、仏様もありがたいことを教えてくれるんだそうだ。どっちがどっちかわからないが、どちらにしてもお願い事は聞いてくれないはずだ。そういえば、クリスマスにもお願い事は聞いてくれなかったし。お菓子の長靴じゃなくて、学校のみんなが持っている両開きの筆箱が欲しかったのに。

もしあちらの世界にそのまま置いてくれてたら、どんな人生だっただろうか。やはり、同じように捨てられていたのかもしれないし、それは子供にはどうしようもないことだったのかな。子供の頃から一日も早く、自分で自分の責任で全てを選択できればと思っていた。毒キノコかもしれないから食べないも選択だし、一か八か食べてみるも選択だ。でもそれは誰かの確率に身を任せるってことじゃないか。誰かって?神様か?

そらは真っ暗だ。割と近くで物音が聞こえる。何か動物の気配がする。自分自身が相当匂っているはずだから、彼らのニオイはわからない。生きてるってなんだろう?熊ならどうだ?鹿とか猪ならラッキーだな。結局、運を天に任せるしかないのか。

幻想なのかなんなのか、目の前にマリア様が現れた。

うん、たぶんそうだ。

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