神様をめぐる冒険 その59

神様をめぐる冒険 その59

西東はまず沢か湧水を探そうとした。1日目、幸運にもそう遠くない場所でそれはあっさり見つかった。なんだ、俺はツイてるじゃないか、そう彼は思った。水のあるところには当たり前だが、動物が集まる。何のモノかはわからないが、割りと新しそうな足跡も見受けられた。本来ならば、ここであと6日強を過ごしたいが、相手によっては危険だから、この湧水からそう遠くなく、なおかつ危険をすぐに察知できるような場所はどこだろうか?

さらに森の奥に分け入る。しかし、元の降ろされた場所から離れすぎてもいけない。周りを警戒しながらも、なにか食べられそうな木の実や、葉っぱ、キノコなどが無いか、探す。7本のキノコが集まって生えている場所を見つけた。しかし、毒キノコかどうか、見分ける知識もない。所詮座学と研修で習った程度だ。匂ってみる。かすかに土の匂いがするくらいで、無臭だ。大体、毒キノコかどうかを匂って分かるかどうかすら分からないが。

まだまだせっぱつまっているわけでもない。おなかは減っているが、ここで毒にあたることは、残りの日数を考えるとギャンブルでしかない。キノコの生えた場所の木の幹にナイフで傷をつけて、目印にした。

結局、4日目に格闘の末、手に入れた小さな蛇を丸焼きにして食べた以外、一切食料を手にすることが出来なかった。毒蛇だったら死ぬかもしれないと思ったが、蛇に噛まれるか、噛まれないかは自分次第だ。蛇よりも強く賢ければそれだけ、死の確率から遠ざかることができる。

毒キノコかもしれない7本のキノコの場所までは、3度行った。6日目まで何も食料が手に入らなければ、一か八か食べてみようと思った。確率は50%。人生は二択だ。だが、自分はそれさえも許されず、あちらの世界から勝手に捨てられた。

葉っぱなど食えたものではない。何度か試したが、口の中の水分が失われただけで逆効果でしかない。

キノコの前で力尽きた。

そらを見上げる。

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