神様をめぐる冒険　その5

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まぁ、とはいえ、自己責任だなと思う。あらかじめ、対策っていうかね。何か考えておけよと、今となっては思うんだけど。火事も雷も台風も自分のところには来ないんじゃないか？的な。まだもう少しどうにかなるんじゃないか？みたいにね。実際、同業他社で倒産したところはあったけど、まぁね、あそこは地震の影響でしょ？また景気が良くなればどうにかなるんじゃないの？それにもしもの場合も順番的にうちの会社だったらＷやＹより早くつぶれる事って無いでしょ？規模的に。とか、都合の良い見方ですけどね。

う～ん、ずいぶん前からおかしいなとは思ってたんですよ。実際は。

まず、ボーナスは半年ごとに10万単位で少なくなっていったし。残業もサービスばかりで、代わりに増えるのはノルマ・予算だけ。成績の悪いお店は徐々に撤退・閉店。成績に悪い従業員はさらにノルマをプラス。いよいよ、こりゃやばいなと思ったのは、最初にも言ったように、役職がなくなったこと。1500人くらいいる正社員で役職があるのが、上位の10人程になるなんて、今考えてもやっぱり異常な事でしょ？給料の役職手当の欄が無くなって、多少の色がついただけの横並びの体系になったみたいなんだけど。

昨日まで「Ｔ次長」。「Ｋ課長」なんて呼んでた上司が、いきなり「Ｔさん」。「Ｋさん」ですからね。お互いやりにくいし、なんだか他人のような気がしたし、指示系統もほんとは以前どおりなんだけど、どこかこんがらがったような、変な感じがした。

まるで歯が抜けるように若くて仕事のできる後輩たちからいなくなって、30過ぎの自分はどうしよう。いい転職先ってあるだろうか？やっぱり、年齢的にもそうだけど、なんの資格もなければ、大したスキルもないし。やっぱり、頑張ってイラストの仕事を続けていたら今頃どうにかなっていたかもな。10年前に読んだ就職雑誌もずいぶん薄くなった。あのとき、履歴書を送った5社のうち、最初に連絡くれた。これも何かの縁といえば、かっこいいけど、ほんとはこれ以上面接受けたりするのがめんどくさかっただけで選んだ会社に10年。何も考えず、流されるままに生きてきて、結果がこれじゃ、まぁしょうがないか。自業自得だよな。この数か月は常にもんもんとそんなことを考えながら、現実を見ない日々が続いた。

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