神様をめぐる冒険　その4

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「自分の好きなことをして生きていけるのはごく少数の選ばれた人たち」

子供の時によく聞かされた話だ。

「テレビの中の歌手も俳優もプロ野球選手もみんな選ばれた特別な人や。（まぁジャイアント馬場とかね、ほんとに選ばれた人もいるんだろうなとは思っていたけど。）大学の研究所でずっと研究に没頭できる人とか、好きを仕事にできる人は特別なんや。だけど、我々のような一般人はコツコツ会社員として定年まで勤め上げるのが正しい道。俺はな、中学生の時に父親を亡くして、就職差別を受けた。ほんとはＭに入りたかったのに、学校の先生にお前は片親だから無理だって言われて今の会社しか行くところがなかったんや。野球部のある会社、いや、ほんまは大学に行って野球と研究したかったんや。俺よりはるかに成績が悪かった奴も大学出ただけで一流企業の偉いさんや。所詮、人は肩書きやからお前は絶対に大学に行くように。」

子供の頃からほんとに何度も聞かされた。自分の可能性が徐々に削られていったような気がするな、今となっては。

別に親父に反発しようと思ってサラリーマン以外の道を目指してみたわけではないんだけど、結局は親父の手の中から出れなかった。三蔵法師のまわりをぐるぐる回る孫悟空みたいなもんかな。いや、そんなかっこよくもないか。

子供の頃は人並みに、大きくなったら「野球選手になりたい」「宇宙飛行士になりたい」なんて風に思っていたんだけど、今じゃ潰しの利かない電気屋のおっさんだよ。しかも倒産しちゃったら、それさえもなくなってしまったがな。

今日はテレビ画面の中の「とかげのおっさん」に妙に感情移入してしまった。

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