神様をめぐる冒険 その12

神様をめぐる冒険 その12

革命店って、何????

頭の中をいろんな考えが駆け巡るが、もう遅かった。おっさんが引き戸を開けて店内へ案内してくれた。嫁はんおらんのやったら、他に誰かおるんかいな?鍵開けっ放し?誰か出てきたらよけいにややこしくないか?お茶入れに行ってる間にこそっとずらかるべきか?急に用事を思い出すか?「さがわ」ってお客さんおったか?あ~思いだせ~

手前の黒い革張りのソファに腰掛けるように勧められた。

「お茶入れてくるからゆっくりしといて。」

改めて店内をぐるりと見渡してみる。何のことはない、昭和の雰囲気漂う普通の事務所?お店? 壁は薄い木目柄をプリントしたベニヤ板で、田舎の建売住宅と同じようなチープ感だし。グレーの典型的なスチールの書類棚と、誰が描いたかわからない油絵を飾った額。さらには「○○米穀店」の名前の入ったカレンダー。ソファの前のテーブルには大理石調の大きな灰皿。2時間ドラマならこれが凶器やな。まさにステレオタイプな、なんていうか。

全く革命感がないやん。

あれ、もしかして、看板を見間違えた?

「あ~、おまたせ。なんか甘いもんでも食べる?」「あ、いや結構です。お忙しいとこあれなんで、すぐお暇しますんで。すいません。」

「おたくとこのお店出来てから、もうずっとうちはおたくとこ一筋やったんやで。ほんまに。歴代の店長さんもみんなええ人やったしな。近くて便利やったし、ほんま残念やわ。」「まぁ、遠慮せんと飲んで。甘いもんいる?」「あっ、いや、はい。大丈夫です。お茶だけで。いただきます。」

しかたがないので、その後の電気屋の状況を話せるところだけ話した。公的資金が入って、採算の合う店は継続するみたいなので、おそらくここのお店は全社的にみても成績が良かったから、復活するだろう。といった、話だ。その間も何とかこの状況を抜け出すヒントを思い出そうとしていた。

自分で言うのもなんだが,僕も職業柄(?)相当調子を合わせるのは得意だ。しかしながら、向かい側のこのおっさんも相当な曲者。どう見ても心配もしていなければ、再オープンするかもしれない話をこれっぽっちも喜んでもいない。ますます、わからん。魂胆はなんだ?

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