神様をめぐる冒険 その29

神様をめぐる冒険 その29

第3章

「速いボールを投げられる。」「打球を遠くに飛ばせる。」この二つは努力だけでは手に入らない才能らしい。野球の話だ。

父親が野球好きだったおかげで、物心ついた頃から、よくテレビではプロ野球中継を見ていた。しかしながら、近眼なうえに、足が速いわけでもなく、運動神経もいまいちだったので、近所の同級生と団地のグランドでする草野球くらいしかしたことが無かった。そのうち、3.4年生くらいになると、小学校のサッカークラブに入れるようになるので、運動神経のいい子たちはみんな参加するようになる。自分で言うのもなんだが、野球に輪をかけて向いていないのだ、サッカーは。しかも、学校が始まる前には朝練なんてものがあったもんだから、全く参加しようとは思わなかった。

そんなある日、小学5年生になる前の春休みの前くらい。4月から近所に硬式野球のチームが出来るとポスターが貼ってあった。「来たれ!未来のプロ野球選手たち」それまでなんの習い事をしたこともなく、もちろん自ら何かやらせてほしいなどとお願いなどしたこともなかった。しかし、この時は自分から親に頼んで入れてもらった。父親は喜んでいたはずだが、特に何か言われたりはしなかった。新チームのメンバーは新6年生が10人ほどと、同級生の新5年生もそれくらい、下級生も合わせればそれくらいだった。

初めての練習には元プロ野球でピッチャーをやってたコーチも参加した。結局この一回しか見たことがない。次の日は全身がひどい筋肉痛で普通に生活するのにも苦労した思い出があるなぁ。

同じ小学校の同級生だったイグチ君だけが上級生と同じ1軍のメンバーに選ばれて、残りの僕たちは2軍スタートとなった。当初は片山君がピッチャーで僕がキャッチャーに選ばれた。ところが、片山君は致命的に肩が弱く、ものすごく球が遅かったのだ。そこで、ある日のこと、2軍を指導してくれていたコーチがピッチャーとキャッチャー交替してしてみるか?ということになり、ややそっちの方がしっくりくるなぁ的な感じで僕が投げることになった。球は遅いがストライクはまあまあ入る片山君と、球は速いがどこに行くかわからない僕。将来性に賭けてくれたんだなぁと、今となっては好意的にとることにしている。

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