神様をめぐる冒険 その64

神様をめぐる冒険 その64

生きて発見された西東は一週間ほどの入院ののち、学校に復帰する。その後、彼は自分をこの世界に連れてきた機械について調べ始めた。今のようにインターネットを使えば、すぐに(真偽の程は別にして)情報が手に入れられるような時代ではなく、インターネット上の情報そのものが少なかった。学校にあったパーソナルコンピュータで手に入れられる情報だけでなく、学校の図書館、大型書店、公立図書館、大学図書館など少しでも情報を仕入れられそうな施設に休みのたびに通うようになった。元々、一人で行動していた訳だから、周りの人間には彼が変わったことは気にもされなかった。

西東を捨て子にした機械は1968年6月9日に発売されたMの前身である大阪電化製作所株式会社時代に開発された商品である。発売された際の価格は定価で220万円と超高額である。ちなみにこの年の大学卒の初任給は29,100円。発売当初は極一部で話題になったが、果たして何に使えて、どのように生活に役立つかわからない、しかも超高額の製品が売れる訳もなく、わずか2年でひっそりと販売・開発中止になっている。大学の研究施設など総販売数は32台にとどまった。

商品カテゴリーは量子空間選択装置。商品名は『レコンキスタTM−01』。金属製の本体に2つのボタンと旧式の液晶画面。サイドにはロックボタン。ステンレス製のボディを持ち、電池をいれるボックスの蓋も無ければ、充電アダプターを繋ぐ差込口もない。というより、本体をつなぎ合わせたであろうネジ類も無ければ、ボディ上下の切れ込みさえない。一体型の金属の塊にボタンと液晶が着いただけのまさに箱であった。当時の感覚でいえば、少し縦に長いポケットに入るたばこケースといったところか。

これには別に充電の為の機械があり、非接触で本体を上に乗せるだけで充電できる当時としては画期的なシステムであった。

あっ、言い忘れたが、童貞はとっくに捨てた。風俗で。なんだ、案外普通じゃないか、そう思った。そう思ったら、すぐに射精してしまった。行動してみないと分からないことばっかだな。と、思った。

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