神様をめぐる冒険 その38

神様をめぐる冒険 その38

これだけ練習してるんだから、きっとそのうちにコントロールも良くなるはずだ。練習は裏切らない。きっとプロ野球に行くような人たちも、いやそういう人たちはもっともっと厳しい練習をしてるはずだ。まだまだ、練習が足りないから、上手くならないんだ。

いつか、きっと。

いつか、そのうちに。

結局、「いつか、きっと」も、「そのうちに」も来なかったのだが。

練習試合で一日に何試合かある場合はたまに試合で投げる機会があった。それ以外はエースのY先輩が登板し、その間も僕はいつも通りブルペンでひたすら投げ込みを行っていた。言い忘れたが、この時はまだろくに変化球も投げれなかった。変化球が禁止だったわけではなく、ひたすら、ストレートでストライクを取る練習しかさせてもらえなかったのだ。まっすぐでストライクが取れるようになってから言え。10年早い。らしい。

さすがに杭とひもを持っていくわけにはいかないので、遠征では例の枠は無かった。しかし、自分の学校で試合があるときは、いつもと同じように枠を目がけて投げる。相手チームの先生や生徒は「かわいそうになぁ」といった目で見てきたように思う。単なる被害妄想かもしれないが。

そして、先輩たちの最後の大会。これまた言い忘れたが、3年生の先輩は8人しかおらず、同級生の猪俣君が唯一僕らの学年ではレギュラーで試合に出ていた。男子だけで1学年150人くらいいて、当時どう考えても世間的には花形スポーツであった野球部に先輩が8人しかいないって時点で、あんまり期待されていない部活ってことが判ると思う。ちなみにサッカー部は20人以上いたからね。

話は戻って、ところがこの時、R先輩が満の悪いことに大会前の練習中に怪我をして、試合に出れなくなってしまった。最後の試合だしどうしても出たいと、マンモスには泣いて頼んでいたが、骨折じゃしょうがない。

ふだん試合に出ていたメンバーが一人足りなくなったのだ。で、てっきりそこは同級生でも打撃が得意でたまに代打起用されていた室井君が代わりに出ると思っていた。

だが、なぜか。

ライパチ。ライトを守って、8番バッター。漫画でもなんでも、最もへたくそな選手が努めるポジション。僕がそれに選ばれた。ろくに外野守備なんてしたことないのに、デッドボールに当たって来いとでもいうのかよ、マンモス?

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