神様をめぐる冒険　その39

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先輩たちの最後の大会の一回戦は投手戦となった。フォアボールやエラーなどのミスでランナーは出塁するが、なかなかタイムリーが出ない。見方を変えれば貧打戦とでもいえるが。

そんななか僕はと言えば、ダメで元々とはいえ、打席に立った3打席は全て振り遅れのセカンドゴロ。なかなか打とうと思ってもそうそう同じところには打てまい。そのうち２打席は内角球を詰まらせたボテボテのゴロだった。守備の機会はライトフライが１回。ライト前のヒットが一回。これは惜しくもライトゴロに仕留めることが出来なかった。常にこっちに飛んで来るなよと願っていた。

最終回を迎えて試合のスコアは2対1。わがチームがリードしていた。後攻の我々がこの回を０点で抑えたら、念願の二回戦に進める。

ピッチャーはＹ先輩。

最初のバッターにフォアボールを出してしまう。ノーアウト１塁。続くバッターは送りバンドの構え。定石通り、同点狙いだ。そこで気合が入り過ぎたのか、コントロールの良いＹ先輩が暴投してしまう。難なく、ランナーは２塁へ。Ｏ先輩がタイムを取って内野陣がマウンドに集まる。もちろん僕は外野手なので参加は出来ないから、内容まではわからない。

散会する。Ｏ先輩が大きな声でナインにはっぱをかける。

ところが僕の記憶はこのあたりから定かではない。

結果から言うと、2アウト二・三塁から打ち取ったはずの平凡なライトフライを、僕がまさかの落球をしてしまい、ランナーが2人ともホームベースを踏んだ。「フライは両手で捕るように。」小学校でまず教わる基本中の基本。片手で捕ろうとした僕のグローブを避けるように軟式ボールは後ろに転がっていった。

2対１であっさり終わるはずの試合をまさかの逆転されてしまった。

しかもその裏の最後の攻撃、最後のバッターとなったのは僕だ。2アウトランナーなしから、粘ることも、もちろんデッドボールを取りに行くこともなく、あっけなく４打席連続の２塁ゴロで試合そのものを終わらせてしまった。1塁まで走る短い距離で「頼む！エラーしてくれ！」と相手のミスを心からお願いしていた。その「お願い」だけははっきり思い出せる。

あとは「らしい」と思うだけだ。

とにかく、先輩たちの最後の試合をぶち壊してしまったのだ。

Ｏ先輩だけは声を掛けてくれた。Ｙ先輩はじめそのほかの先輩は何も言わなかった。涙がとまらなかった。

野球の神様って本当にいるのか？

おれだけがなぜ？

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