神様をめぐる冒険 その34

神様をめぐる冒険 その34

大会が始まった。相手は僕たちのチームより1年ほど前に発足したチームで、実力で言うとワースト2位だった。まさかとは思うが、初勝利のために故意的に組み合わせが行われたのかもしれない。とはいえ、ワースト1位は僕たちなんだけど。地元開催だけあって、遠征ではなかなか来れない父兄も含めていつもより多くの応援だ。別に緊張はしないのだが、なんだろう?全然、楽しめてはいない。そんな感じ。後攻の為、まっさらなマウンドに上がる。

一球目。ど真ん中にストレートが決まった。

結果、一回表は三者三振という、「出来過ぎの出来」で終わる。続くこちらの攻撃・一回裏も三者凡退。そしてここからゲームが動き始める。

2回表、相手のチームは監督の指示なのか、バットを振ってこなくなった。そうなのだ。最初の回は球が速くて当たらなかっただけで、ストライクのコースにばかり行ってたわけではなかったのだ。何でもかんでも振るのは辞めて、2ストライクまではボールを見る作戦に切り替えてきた。そうなってくるといつものパターンに逆戻りっていうか、結局フォアボールを出す。さすがにこの頃は牽制球も投げられたので、みすみす盗塁されることはなかった。ホームに投げるよりもそちらの方がコントロールが良いなんて言われたなぁ。その後はいつものようにランナーをためる。球を置きに行く。打たれる。の、パターンで一挙に4点を失った。

神様、なんでやねん。メガネまでかけて、毎日200球も投げて頑張ってきたのに。

ベンチに戻ると、また監督に怒られた。球を置きに行くな。もっと腕を振れ。

2回裏。奇跡が起きる。まぁ、何のことはないのだけど、こちらのチームも相手チームと同じ作戦を取っただけなのだ。相手チームのピッチャーも僕に負けず劣らず、ノーコントロールだった。しかも、それほど球速もない。先ほども言ったように変化球禁止だから、スピードとコントロールしかないのだ。結局、この回うちのチームは6点を取って逆転した。

そして、この後も両チームともグダグダの展開で試合が進み、最終的に13対17でついに初勝利を挙げた。昔から野球は8対7の「点の取り合いの試合」が一番面白いなんていうが、見ていた応援者は疲れただろうと思う。この試合は。

なにはともあれ、はじめて勝った。

メガネの神様ありがとう。

野球の神様ありがとう。

今となっては本当に感謝すべきは周りの協力してくれた人。応援してくれた人。そして何より父親だと思うが、まるで見えてなかったんだよなぁ、この時は、そしてこの後も。

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