神様をめぐる冒険 その58
- 2019.12.25
- ストーリー
第7章
『デロリアンの捨て子たち』
彼らはそう呼ばれているらしい。デロリアンとはそうあの有名な映画に出てくる無塗装で角ばった車を作ったメーカーの名前だ。デロリアン自体は創業者の名前で、唯一製造された車の名前は『DMC(デロリアン・モーター・カンパニー)−12』とこれまた無機質なモノであるが、一般的にはあの車のことはデロリアンと呼ぶことの方が多いかもしれない。無塗装で無機質な感じはどことなく父親が作ったとされているあの機械に似ている。ステレオタイプの未来の機械のイメージとでもいうか、冷たく寒い、機械が人を支配する未来の共産主義のような。
リーダーの西東(サイトウ)は16年前の3月3日に、3歳7か月であちらの世界からこちらの世界に連れて来られた。(3歳7か月と本人が認識していたわけではない。DNA検査の結果、おそらく、それくらい。と、いう年齢だ。)そして、そのまま、まさに捨てられた。故意的なのか、恣意的なのか、作為的なのか、彼はMの埼玉工場の前で泣いているところを保護された。彼がどこから来たのかは、最初に保護をしたMの警備員をしてすぐに分かったらしい。警察に届けるわけにもいかず、そのまま彼はMが資金を出して実質的に経営していた保護施設に送られることになった。
なぜ西東少年があちらの世界から来たかわかったのは、彼のポケットにあちらの世界の紙幣の1万円札が2枚、きれいに畳まれて入れられていたからだ。しかもその紙幣はご丁寧にも、あちらの世界の新聞紙にくるまれていた。
彼は保護施設に入所した4人目の、あちらの世界から来た孤児になった。
彼はそのまま中学校を卒業するまで施設ですごし、卒業後は15歳から国家公務員になった。陸軍高等工科学校。そこで彼は3年間をすごした。
地図にも載っていないような山の中で、少年たちがヘリコプターから一人一人数キロメートル離れた場所で降ろされる。一週間後、同じ場所へヘリコプターが迎えに来るまで、所持品はマッチひと箱、ナイフ一本、ロープが一巻。
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