神様をめぐる冒険 その10

神様をめぐる冒険 その10

目の前のいつものそれは、数100メートルある古くからの商店街で、大阪では割と有名な10大商店街のひとつ、と言った言われ方をする。入り口には左に銀行の駅前支店があり、右に有名ファーストフードのお店がある。となりにはそれぞれパチンコ屋が並び、古くからの地元の個人商店とチェーン店が入り混じって立っていた。僕が勤めていた電気屋は商店街を入って3分の1くらいの左右に横切る道の角地にあった。元は小さなスーパーがあった場所で、まわりの店と比べればやや大きい2階建のものだった。

そこ迄の道のりを歩く。

このお店には2年前に転勤してきた。その前の2年は配送センターにいた。前に話した尊敬する上司が誘ってくれたからで、それがなかったら、5年前に辞めてただろう。あっ、別の話でしたね。

駅からお店までの道を歩く。出勤の時間も退勤の時間も基本閉まっているお店の方が多いし、ちょっとした配達やクレーム、あと昼休憩以外はそんなに店から出ることも無かったから、じっくりと見るつもりでいつもよりゆっくりと歩いた。もともと、僕は歩くのが早いらしく、社内恋愛の元彼女にもよく怒られていたものだ。あと、ごはんを食べるのも。これは、母親にか。せっかく、一生懸命時間かけて作ったのに、せいがないわ。なんて感じに。意識してゆっくり歩こう。

そうは言っても、たかだか1ヶ月でそれほどの変化があるはずもなく、へぇ〜の数はそれほど多くなかった。

お店に着いた。当たり前だが、シャッターは降ろされたままで、貼り紙もそのままであった。商店街の本通りの角を曲がると商品の搬入口とその横に小さな従業員用の通用口がある。そちらの貼り紙は剥がされていた。見てもしょうがないと思ったが上を見上げてみる。何も変わらなかったが、こんなだったかなぁ?と小さく独り言を言ってみた。

そういえば、このまま横道を先に行ったことってあんまりなかったな。いや、どうだったっけ?いつも行く定食屋は逆方向で、そっちにはだいたい何があるかわかるけど。まぁ、どうせ時間もあるし、ぶらぶらしてみるか?なんか旨そうな店あれば入ってもええし。

これが、冒険の始まりになるなんて、その時は考えもしなかったけど。

人生は選択の連続だ。何が起こるかわからないね。ほんと。

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