神様をめぐる冒険 その18

神様をめぐる冒険 その18

「パラレルワールド?」

「箱の中には『生きている猫の世界』と『死んでいる猫の世界』があって、そのうち『どちらかの世界』を観察者がたまたま確認する。で、もう一方は観測者が確認しなかった『違う世界』にそのまま存在する。みたいな。」

「SFみたいな話ですね。」

「そうやろ?箱は1つやのに、中に世界が2つあって、見られたらもう片方はどっか行ってしまう?」「でもどっか、机の下には存在する。見えへんだけで。」

おっさんはそう言いながら片方のコピー用紙を机の下に隠す。

「この考えでいくと、もっと不思議なのは、果たして箱の中の世界が2つだけなんか?ってことになってくるんよ。もし猫が生きたままやとして、それは果たして元のおんなじ世界の猫なんか?どう証明する?よー見たら元の状態から毛が一本抜けてるだけの世界の猫かもわからんやろ?

「箱に入れて1分後に死んだ猫と29分に死んだ猫はおんなじか?」

「てなかんじで、どんどん訳がわからんようになってくるんやな。並行宇宙みたいな考えもあるし、そもそもこの世には時間っていうもんもなくて、今しかない。過去も未来も横並び、まぁこれはあれかオカルトみたいなもんか?」

ここで、おっさんは一度腰かけ直し、

「で、話を戻すと、君のお父さんは箱の中に複数の世界、一説によると10の58乗らしいけど、が、あって、観測者が箱を開けた瞬間に『観測者自身が』その世界に移動するんちゃうか。と、言い出したんや。なかなかクレイジーやろ?」

「はぁ、イマイチよくわかりませんが。」

「うーん、2つの世界、『猫の生きている世界を観察している観察者』と『猫の死んでいる世界を観察している観察者』も両方あって、箱を開けた時点でどちらかになる。つまり、違う世界に移動する。猫の方にも多重な世界があるけど、それは観察者の方にもあるんちゃうか?と、言い出した訳よ。」

「『じゃあ、猫の入った箱を作れば違った世界に行けるはず。僕は計算機よりもそれを作ります。』と、来たがな。」

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