神様をめぐる冒険　その2

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「結局、関西資本の家電量販店はほぼ無くなってもたなぁ。 例の震災で文字通り傾き始めた中なんとかかんとか立ってたのに、 とうとうウチにも順番がきたかぁ、ほんま。 ほんま、もともと、街の電気屋をつぶしてうちらみたいなのが生まれて、 それがより大きなところに飲み込まれたってところかなぁ。 世の中ほんと厳しいよね。。。 こういうの焼肉定食って言うんやったかなぁ？ あっ、違うわ！弱肉強食か！」

その後、出勤してきた社員たち全員と 近所のファミレスで待機することになった。 半ば覚悟していたとはいえ、 張り紙を見た当初はみんなそれぞれに動揺していたが、 店長のいつものくだらないボケに、 誰かがいつもの乾いたツッコミを入れれるくらい冷静になってきた。

とりあえず、退職金は出るらしい。
とりあえず、就職のあっせんはしてくれるらしい。
とりあえず、会社都合なので失業手当もすぐに出るらしい。
だから、とりあえず、おとなしく自宅待機しておくように、らしい。

おそらく、これでバラバラになるだろうに、
これがこのまま永遠に、
これが今までのように当たり前になるかのように
いっつものように
「お疲れ様でした」でみんなとお別れした。

ドリンクバーのコーヒーは
いつものように味気なかったが、
なんだかいつもと違う味がした。

ような気がした。

最近は暗い話題ばかりだったけど
なんとか笑いにしようと思ってたんだけど
できるだけ普段通りに。

帰ってからは
「ゴッツええ感じ」のビデオを見たような気がするんだけど。

よくは憶えていないんだよね。

子供の頃に思っていた32歳はこんな感じじゃなかったよな。
２１世期の自分はこれだったっけ？

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