神様をめぐる冒険 その44

神様をめぐる冒険 その44

高い天井から暖色調の照明が会場を照らす。こちらをちらりと見た数名は僕にはすぐに興味を失い、前に向きなおす。男に先導されるまま、前に進む。見渡してみる。横に4列椅子が並び。間に3本の通路がある。つまり、4列の筋が4本あるので、横に16人。さて、縦には何列だろうか。およそ、20くらいか。ほぼほぼ満席なので、300人とか400人がここにいるのだろう。壇上では左端の司会者らしき男が卓上のマイクを使って、今日のシンポジュームとやらの説明をしているみたいだ。

壇上には横長に机が置かれ、それぞれの前に肩書きと名前の書かれた白い紙が4枚貼られていた。入り口、受付と同じ筆文字で。それぞれにマイクがたてられ、ラベルをはがされたペットボトルのお茶もそれぞれに置かれている。

男に先導されて、真ん中の筋の一番前の席に座らされた。椅子の上のパンフレット・レジュメを取り、深く腰掛ける。案内してくれた男は壇上の机に乗っているものと同じくラベルの剥がされたペットボトルを渡し、軽く会釈をして元の受付の方に去っていく。

壇上の机の前に貼られた紙を見る。4人のうち2人はどこのだれか知らない人だ。一人は私立大学の助教授(こちらの世界ではいまだに准教授とは言わないらしい。)もう一人は聞いたことのない歴史研究家。

そうなのだ。4人中2人は知った名前だった。一人は「ツルハルユキ」つまり親父だ。これは今までの話の流れから大体は予想がついた。わざわざ呼ばれるのだからなにか意味があるはずだろう。もちろん現実の(あちらの)世界ではなんだこれってなるだろうが、さがわのおっさんはじめ登場人物を考えればそれもあるかなと。肩書きは「全国京都遷都会会長」である。

そして最後の一人はなぜか元彼女の名前である。何があっても驚かない、平静であれと、心の中で思っていても一向に足の震えは止まらない。肩書きは「現代のローザルクセンブルク」20年前に京都の大学生が考えたような肩書きだけど。彼女のイメージとは全く違う。同姓同名であることを祈るのみだよ。

「それでは時間となりましたので、パネリストの皆様に登場していただきましょう。どうぞ、みなさま盛大なる拍手でお出迎えください。」

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