神様をめぐる冒険 その40
- 2019.12.06
父親の勤める会社の社宅の4階に住んでいた。家にはエアコンが無く、扇風機も肩を冷やすとよくないからと、なるべく当たらないようにしていた。すべての窓と玄関の鉄製の扉を全開にし、風を通そうとしているのだが、暑いものは暑い。苦痛だ。 試合の次の日とその次の日の2日間は珍しく練習が休みになった。マンモスも人の […]
父親の勤める会社の社宅の4階に住んでいた。家にはエアコンが無く、扇風機も肩を冷やすとよくないからと、なるべく当たらないようにしていた。すべての窓と玄関の鉄製の扉を全開にし、風を通そうとしているのだが、暑いものは暑い。苦痛だ。 試合の次の日とその次の日の2日間は珍しく練習が休みになった。マンモスも人の […]
先輩たちの最後の大会の一回戦は投手戦となった。フォアボールやエラーなどのミスでランナーは出塁するが、なかなかタイムリーが出ない。見方を変えれば貧打戦とでもいえるが。 そんななか僕はと言えば、ダメで元々とはいえ、打席に立った3打席は全て振り遅れのセカンドゴロ。なかなか打とうと思ってもそうそう同じところ […]
これだけ練習してるんだから、きっとそのうちにコントロールも良くなるはずだ。練習は裏切らない。きっとプロ野球に行くような人たちも、いやそういう人たちはもっともっと厳しい練習をしてるはずだ。まだまだ、練習が足りないから、上手くならないんだ。 いつか、きっと。 いつか、そのうちに。 結局、「いつか、きっと […]
「俺はお前をプロ野球選手にするために顧問を引き受けた。覚悟しておくように。」笑顔で話しかけてきたマンモスの茶色いサングラスの奥の小さな眼は、笑っていなかった。 次の日から僕だけが別メニューで、 ここからの何か月はおそらく人生で最も野球のことを考えて、取り組んだ期間だろう。 県内で2番目に大きなグラン […]
マンモスは実は野球経験者ではない。柔道と空手の黒帯を持っているらしく、前任の中学の時はヤンキーたちからも一目置かれる存在だったそうだ。当時は柔道部の顧問をしていて、元々弱小だったチームを数年で県大会で3位になるくらいの強豪に育てたとの噂だ。なにせ田舎の狭い範囲の話だからすぐにいろいろな情報が入ってく […]