神様をめぐる冒険 その59

  • 2019.12.26

西東はまず沢か湧水を探そうとした。1日目、幸運にもそう遠くない場所でそれはあっさり見つかった。なんだ、俺はツイてるじゃないか、そう彼は思った。水のあるところには当たり前だが、動物が集まる。何のモノかはわからないが、割りと新しそうな足跡も見受けられた。本来ならば、ここであと6日強を過ごしたいが、相手に […]

神様をめぐる冒険 その58

  • 2019.12.25

第7章 『デロリアンの捨て子たち』 彼らはそう呼ばれているらしい。デロリアンとはそうあの有名な映画に出てくる無塗装で角ばった車を作ったメーカーの名前だ。デロリアン自体は創業者の名前で、唯一製造された車の名前は『DMC(デロリアン・モーター・カンパニー)−12』とこれまた無機質なモノであるが、一般的に […]

神様をめぐる冒険 その57

  • 2019.12.24

大きな爆発音がした。 そのすぐ後には、大きな悲鳴と子供の頃に嗅いだ爆竹の煙のようなニオイがした。振り向くとステージから最も遠い入り口のドアが煙に包まれていた。テレビでも見ているようだ。遠く中東かどこかの国で起きている事件が目の前でおこっている。いや、あれほどはひどくないな。鼓膜が破れたわけでもなけれ […]

神様をめぐる冒険 その56

  • 2019.12.23

今すぐぶちぎれて会場を出て行ってやろうと思ったが、体が動かなかった。さっきあちらの世界で自分を変えるために必死に考えたつもりだったのに。なぜだ。こっちの世界では帰る場所が無いからか。単に意気地が無いからか。せっかく今までにないくらい一時の感情じゃなく、心の中から盛り上がったと思ったのに、クズか?俺は […]

神様をめぐる冒険 その55

  • 2019.12.22

第6章 そもそも、今いる世界はどこだ? 「私は神を信じているわけではありません」 ステージ上では学者に続いて、2番目の男が話し出す。後ろの長机には父親と元彼女が座っている。 「しかし、信じていないわけでもありません。私は何も知らないということだけを知っています。無知の知。それ以上でもそれ以下でもない […]

1 3 15